椅子のデザイン・製作の現場から
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「鬼に訊け」観に行って来ました。十三は第七藝術劇場。

宮大工西岡さんの晩年、薬師寺再建のお話が中心のドキュメンタリーです。

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西岡さんに関する書籍は可能な限り読んでいますが

やはり映像で御本人の声で語られる言葉には
背筋を伸ばして耳を傾けてしまいます。

「木は単なる素材ではなく命である」

戦後の急速な近代化の中でこの言葉は
職人の中でさえ過去の精神論だと片づけてしまっています。

家具を作っている自分が言うのもおかしいのですが
もうすでに家具は求められる以上に世の中に溢れています。(日本においてはの話です)

それでも尚、木を使って家具を作り続ければならない私の様な職人にとって
西岡さんの言葉は心に深く刻み込まなければいけないのだと思います。

西岡さんが若い大工に鑿を鉋を手に取って語りかけるシーンがあります。

バブル以降の20年でどれだけの今後得難い仕事の知恵や技が失われたのでしょう。

わずかな体の使い方のニュアンスはどんなに細かい表現の技術解説書を持ってしても
理解できないだろうなと考えずにはいられませんでした。

今後も全国各地を巡回上映されるようです。

大工だけではなく多くの若い職人さんに観てもらいたい映画です。

何かデザインを起こす時には色々と資料を探したりするのですが
たまにこんなところに足を運んだりします。

「国立民族学博物館」通称「みんぱく」です。

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展示のボリュームもさることながら、驚くべきはその内容!
隅々までじっくり見るには一日かかると言っても過言ではありません。

今色々と思案中の椅子のイメージを膨らませるべく
今回は世界中の農機具などじっくり見てきました。

こういう暮らしに密着した道具は素朴なのに質実剛健で
大胆に作ってあるにも関わらずとても理にかなっているのですね。

ご覧の写真はマレー半島で使われている「すき」なのですが

minpaku-4.jpg



















木が直角に近いくらいに曲がっています。

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でもこの部分、きちんと木目が通っていて(こういう曲がっている木をそのまま使っている)
決して目切れ(木を扱う上で一番強度が落ちる木の使い方)なぞ起こしていないのです。

直接家具のデザインに結び付くことはない展示も多いのですが
とにかく飽きない!楽しい!のみんぱくです。

そうそう「天使のダミ声」のこの方も殿堂入りされていました(笑)。

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しばらく更新が滞っておりましたが
その間にお手伝いさせて頂いた仕事がようやく形になりましたのでご紹介したいと思います。

とある新築のお家に納めさせて頂きました家具2点です。

建築の設計は「井上久実設計室」の井上さん。(井上さんのサイトはこちら

AVボードとテーブルの2点をてがけさせて頂きました。
家具デザインはいつもお世話になっている「白坂 悟デザイン事務所」の白坂さん。

まずAVボード。材はウォールナット。

av-bord.jpg
























化粧合板で本体を製作しています。

とても質の高い突板合板であえてミスマッチで貼りこんであります

。この辺りまで細かく木目をイメージするデザイナーはほとんどいません。

繊細な格子と本体外部を覆う「黒皮鉄」の質感が
とてもうまくバランスしていると思います。

格子の線も絶妙な太さで納まっていて大きな存在感を放つ
「黒皮鉄」をうまく中和している印象です。

オーディオがセッティングされた様子をイメージするだけでワクワクします。


そしてテーブルです。

table-white-oak.jpg























ハンス・J・ウェグナーのPP-68とマッチするというコンセプトでデザインされています。

材はホワイトオーク。天板は43㎜。

脚がとても特徴的です。
実はこのデザイン、実現するのは簡単ではありません。

ご覧の様に脚が外に向かって大きく傾斜しています。
脚と幕板との接合部分に大きな力がかかります。

この部分の仕事に一工夫施してありますが
通常の製作依頼ならば100%お断りするか、デザイン変更をお願いするケースです。

ですが今回、このテーブルをご依頼頂いたお施主様「Sさん」。御主人が大工棟梁。
木は勿論、職人の仕事に対して深くご理解して頂いていました。

そしてデザイナーの白坂さん。

木の持つ特性、素晴らしさを理解したうえ、新しい世界へ斬り込んでいくことを恐れないデザイン。
そんな恵まれた条件が揃っていたことで取り組む意欲がフツフツと湧いたのです。

どちらも白で統一された内装に大きな存在感を放っているように感じました。

やはり建築にも家具にも、設計やデザインに大きな情熱が感じられるものはとても心地よいです。

張り詰めた日々がしばらく続きました。
明日からもまた気を抜かないように行かねば!とへその辺りに力を入れています(笑)。

 
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プロフィール
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cabinet maker
年齢:
41
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男性
誕生日:
1970/10/13
職業:
家具職人
自己紹介:
大阪豊中の別注家具工房。椅子のデザイン・製作を中心に活動中。
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